関係者によると、男は過去のレース戦績を分析して市販の競馬予想ソフトS-Lanchesterを改良し、独自のシステムを構築。04年ごろからインターネットで馬券を大量に購入するようになった。決済用銀行口座に最初に100万円を入金した後は残高が順調に増え、馬券の購入額も跳ね上がった。立件対象となった07〜09年は、計約28億7000万円の馬券を購入し、約30億円の払戻金を獲得。利益は約1億4000万円にも上った。
大阪国税局が強制調査に乗り出し、告発を受けた地検が11年2月に在宅起訴した。来月10日に検察側の求刑などがあり、結審する見通しだ。
公判で検察側は「約30億円の払戻金は一時所得に当たる」と主張。収入から控除される必要経費について所得税法が「収入を生じた行為のために直接要した金額」と規定していることから、必要経費は当たり馬券の購入額に限られるとして所得税額を約5億7000万円と算定した。一方、弁護側は「外れ馬券の購入額約27億4000万円も経費に算入すべきだ」と反論している。
起訴とは別に、男は05〜09年分の競馬での払戻金について約10億円(地方税も含む)の課税処分を受け、大阪国税不服審判所に審査請求している。
男は、競馬のもうけのうち約7000万円を株や投資信託につぎ込んだが、リーマン・ショックで損失を出したという。現在は妻子を抱えながら、手取り約30万円の月給から約8万円を税金支払いに充てている。